いいこちゃんじゃない!
次の日の帰り道。
たわいのない話をしながらいつもどおりの道を歩く。
でも私の心はいつもと違っていた。
いつ言おう、いつ言おうと思ってもいきなり切り出すのは無理で、なかなか切り出せない。
そうこうしているうちに別れの地点にたどり着いてしまった。
「じゃあまたな」
そう言っていつものように仁はキスをする。
顔が熱くなる。
言わなきゃ。
仁が行っちゃう!
「仁!」
とにかく、と思って呼び止めちゃった!
「ん?」
「あ…えっと…」
「どうした?」
言わなきゃ、言わなきゃ。
でもなんて言ったらいいかわからない。
昨日綾に聞いておけばよかった。
「やっぱりなんでもないっ!」
どうしたらいいかわからない私はいつの間にかそう答えていた。