いいこちゃんじゃない!
明らかにおかしい私の様子を見て仁は私をじろりと見る。
あ、スイッチ入ってる…
「なんでもないってことはないでしょ?」
「えと…」
仁が私に近づいてくる。
「何か言いたいことがあったんじゃないの?」
「そ…れは…」
「言えないの?言おうとしたんだから言えることだよね?」
ニヤリと仁が笑う。
「じゃあキスの代わりに教えてよ」
そう言って私に優しくキスをした。
さっさと先にキスしちゃって。
やっぱりずるい。
言わなきゃいけないじゃん!
「ほら、キスしたんだから言って?」
もう…いちかばちかだ!
「い…え…」
「家?」
頷く私。
「…行きたい」
「ん?」
驚いた顔の仁。
ぱっと私はうつむく。
「仁の……家に……行きたい…です…」
途切れ途切れやっとのことで言葉をつないだ。
恥ずかしくて顔が上げられない。
今仁はどんな顔をしているんだろう…
ドキドキと心臓の音だけが響いていた。
「今なんて言った?」
えっ?!
思わずぱっと顔を上げると、
そこにはニヤリと笑っている仁がいた。