いいこちゃんじゃない!



こんなふうに、私は毎日仁に遊ばれている…





でも、嫌な気はしないというか、





むしろ嬉しいというか…





構ってもらえるのが嬉しいんだと思う。






「今日どっか行くか?」




「うーん、期末テスト近いしな…」




「結依は真面目だなー相変わらず。まだ教室でいいこちゃんやってんのか?」




「いいこちゃんって言わないでよ!」




私と仁は違うクラス。





それにタイプも違う。





私は…全然可愛くないし、モテるタイプじゃない。





ただのテストが大切な女子高生だ。






両親から期待されていて、成績は落とせないし、先生からも期待されているから教室でもおとなしくしてなきゃいけない。




本当の私は、そんなにいいこちゃんじゃない。





本当はいろいろ適当に済ませたいし、先生や両親の顔色を伺ってばかりいたくない。





素の私でいられるのは、仁の前だけだ。






なぜか仁の前だと本当の自分でいられる。






友達もそりゃあ先生や親よりは素でいられるけど、どことなく気をつかっている。






だから、私には仁が必要なんだ。







「おい、結依?」



「えっ?」





「ぼーっとしてたろ?全く歩いてる時にぼーっとしてると危ないだろ?」




私を心配するときは笑いながらも顔をのぞきこんでくるからどきっとする。




どきどきするのも、仁の前だけ。








< 3 / 79 >

この作品をシェア

pagetop