運命チョコ
タイトル未編集
運命のチョコ
山口ケイヤは、得意先周りの営業を終え、社へ戻る途中だった。歩きスマホで、メールのチェックをしていたその時、右足に何かが当たってそれを見下ろした。
小さな手提げ袋。中身にはキレイにラッピングされてリボンで飾り付けされている小箱がひとつ入っていた。
ケイヤはそれがチョコレート?もしくは、なんらかのプレゼントだとすぐに気づいた。なぜって、今日は2月14日なのだから。
その紙袋を拾い上げてみた。
どうしよう・・・落とし主はすぐに気づいて戻ってくるだろうか?
それとも、あっさり諦めて、新しくチョコを買うという選択をするのだろうか・・・
とりあえず、待ってみた。5分。10分・・・。
ずるずると、もうじき30分になろうかという頃、社から早く戻れという連絡が入った。
しょうがないやぁ・・・
ケイヤは、その手提げをもったまま社へと向かった。
その手提げを見た同僚男性社員達数人が、「山口モテモテだね・・・」「羨ましい」「どこにそんなにファンを囲ってるんだ?」それぞれに、はやし立てた。
「そんなんじゃないけどぉ」
ケイヤは曖昧に笑った。
女子社員の加賀サヨが、コーヒーを淹れて、ケイヤの机に運んできた。
「山口さん、お疲れ様。得意先の女の子に手を出しちゃだめですよぉ~」
「マジ、そんなんじゃなくて、これはさっき道端で拾ったんだよ!」
サヨに向かって、事実を簡単に説明した。
「そうなんですか、じゃぁ、落とし主は困ってるかも知れないですね・・・」
「まぁ、中身を開けてないから、確かなことは云えないけど、チョコかプレゼントの可能性は高いよね」
山口は、自分の思っていることを云った。
「うん、もしかしたら、手作りチョコの可能性もありかな?そうだったら、落とした女性はショックで探してるかなやっぱり」
サヨは、手提げの中を覗きこんで、小箱のラッピング具合を見て云った。
「俺、ちょっと帰りにまた落ちてた場所へ寄ってみるよ!」
山口が云った。
「その方がいいかも、わたしもなんか心配なんで、一緒に行ってあげますよ」
サヨはまるで自分が落とし主のような気分になっていた。
山口とサヨは、山口がこの辺りで手提げを拾ったという辺りの歩道に立っていた。
ふたりがそこに立って30分もすると、夕方のラッシュの時間帯を過ぎて、歩道を行き交う人もまばらになっていた。
「しかし、バレンタインデー当日にプレゼントを落としちゃうなんて、ちょっと不運というか、抜けてるというか、困った人ですね~」
サヨが冷えてきた手をこすり合わせながら云った。
「まぁ、そう、でも、こうやって来るかどうかもわからない落とし主をただ待ってる奴もそうとうな暇人か、バカかって気もするけどなぁ~」
山口が、白い息を吐きながら苦笑いを浮かべた。
「それ、云えてます!」
サヨが山口を見ながら同意した。
「何時まで、待ってみます?」
サヨが時計を見た。午後8時前だった。
「加賀さん、こんなつまらないことに付きわせちゃってすまないね!埋め合わせに、今夜は夕飯おごるよ」
「勝手について来たのは、わたしですから・・・」
サヨは、云いながら、自分のバッグから小さな包を取り出した。
「これ、よかったらどうぞ、わたしからです。一応・・・手作りチョコなんですけど」
それが二人の初デートになった。
山口ケイヤは、得意先周りの営業を終え、社へ戻る途中だった。歩きスマホで、メールのチェックをしていたその時、右足に何かが当たってそれを見下ろした。
小さな手提げ袋。中身にはキレイにラッピングされてリボンで飾り付けされている小箱がひとつ入っていた。
ケイヤはそれがチョコレート?もしくは、なんらかのプレゼントだとすぐに気づいた。なぜって、今日は2月14日なのだから。
その紙袋を拾い上げてみた。
どうしよう・・・落とし主はすぐに気づいて戻ってくるだろうか?
それとも、あっさり諦めて、新しくチョコを買うという選択をするのだろうか・・・
とりあえず、待ってみた。5分。10分・・・。
ずるずると、もうじき30分になろうかという頃、社から早く戻れという連絡が入った。
しょうがないやぁ・・・
ケイヤは、その手提げをもったまま社へと向かった。
その手提げを見た同僚男性社員達数人が、「山口モテモテだね・・・」「羨ましい」「どこにそんなにファンを囲ってるんだ?」それぞれに、はやし立てた。
「そんなんじゃないけどぉ」
ケイヤは曖昧に笑った。
女子社員の加賀サヨが、コーヒーを淹れて、ケイヤの机に運んできた。
「山口さん、お疲れ様。得意先の女の子に手を出しちゃだめですよぉ~」
「マジ、そんなんじゃなくて、これはさっき道端で拾ったんだよ!」
サヨに向かって、事実を簡単に説明した。
「そうなんですか、じゃぁ、落とし主は困ってるかも知れないですね・・・」
「まぁ、中身を開けてないから、確かなことは云えないけど、チョコかプレゼントの可能性は高いよね」
山口は、自分の思っていることを云った。
「うん、もしかしたら、手作りチョコの可能性もありかな?そうだったら、落とした女性はショックで探してるかなやっぱり」
サヨは、手提げの中を覗きこんで、小箱のラッピング具合を見て云った。
「俺、ちょっと帰りにまた落ちてた場所へ寄ってみるよ!」
山口が云った。
「その方がいいかも、わたしもなんか心配なんで、一緒に行ってあげますよ」
サヨはまるで自分が落とし主のような気分になっていた。
山口とサヨは、山口がこの辺りで手提げを拾ったという辺りの歩道に立っていた。
ふたりがそこに立って30分もすると、夕方のラッシュの時間帯を過ぎて、歩道を行き交う人もまばらになっていた。
「しかし、バレンタインデー当日にプレゼントを落としちゃうなんて、ちょっと不運というか、抜けてるというか、困った人ですね~」
サヨが冷えてきた手をこすり合わせながら云った。
「まぁ、そう、でも、こうやって来るかどうかもわからない落とし主をただ待ってる奴もそうとうな暇人か、バカかって気もするけどなぁ~」
山口が、白い息を吐きながら苦笑いを浮かべた。
「それ、云えてます!」
サヨが山口を見ながら同意した。
「何時まで、待ってみます?」
サヨが時計を見た。午後8時前だった。
「加賀さん、こんなつまらないことに付きわせちゃってすまないね!埋め合わせに、今夜は夕飯おごるよ」
「勝手について来たのは、わたしですから・・・」
サヨは、云いながら、自分のバッグから小さな包を取り出した。
「これ、よかったらどうぞ、わたしからです。一応・・・手作りチョコなんですけど」
それが二人の初デートになった。