結婚に愛はあるのか?
「謝らないでよ」

沙織は困ったように笑った。

「・・・でも」

私は頭をあげ、沙織を見つめる。



「お兄ちゃんが言ってたでしょ?

私と陽介が付き合ってたって…付き合ってたって言っても、

たったの一週間よ?しかも付き合った理由が、私の付きまとっていた

ストーカーみたいなやつを追い払う為で、お互い恋愛感情はなかった。

友情みたいなかんじ・・・かな?だから、私と陽介は、なんでもないから、

それだけは信じて・・・陽介は、本当にイイヤツだから・・・

きっと、愛を本当に愛してる。だから愛も、陽介の事、信じてあげて…ね?」


「…沙織」


「すべてが上手くいったら、私帰るから・・・。

上手くいったときって言うのは、陽介と愛があの部屋を二人で出ていってくれる時だよ?

もちろん、結婚報告が聞けることが第一条件だけど」



「…ゴメンね、色々気を遣わせて・・・。

ゴメンね、一杯心配かけて・・・・」


私は沙織に抱きついた。

沙織は、私の背中を優しく撫でてくれた。


「・・・愛、少しお腹でてきた?」

ふと、沙織がそんな事を言った。

…確かに、少しずつ、お腹が目立ち始めていた。

順調に育っている証拠だ。
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