結婚に愛はあるのか?
「全く、まだ21の若造が、子どもなんか作りおって。

分かった時に、なぜ下ろさなかったんだ?お前は松田商事の後継者だぞ?

たかがITの小さな子会社の社長なんかをやってる身分じゃない。

私の後に続き、松田の社長になり、大きな会社の令嬢とでも結婚すればいいものを、

好き勝手な事ばかり・・・」


そう言って頭を抱えたお義父さん。

でも、それにはちっとも屈することなく、陽介はお義父さんに言った。


「貴方が考えてる事など、すべてお見通しですよ。

だから6か月に入るまで妊娠の報告をしなかった。

オレは、松田商事を継ぐつもりなどありません、だからどこぞの分からない令嬢との

政略結婚などもっての外だ。自分の好きな仕事と、大好きな人たちに囲まれて、

これからもやっていくつもりです、だから、もう、この家に来ることもない」


「バカな事を言うな!私や母さんがどんな想いでお前を大きくしたかわかっているのか?」

そう言って怒鳴ったお義父さん、私は体を委縮させる。

そんな私の気づいた陽介は、私を安心させるように、手を握ってくれた。



「たくさんの教育、ここまで育てていただいた事はありがたく思っています。

ですが、貴方方に、愛されていた事を、ただの一度も感じたことはなかった。

オレを、自分の子供だと接してくれた事がありましたか?」


その言葉に、お義父さんは何も答えない。
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