結婚に愛はあるのか?
「どっちのデザインがいい?」

「え。あの・・・」

陽介に真剣な顔で言われ、私は一つのペアの指輪を、

思わず指してしまった。


「じゃあ、これで」

「ありがとうございます!」

相変わらずニコニコ笑顔の店員は、それを持って

行こうとした・・・が。


「すぐに付けるから」

陽介の言葉に、頷いた店員は、指輪を陽介に手渡した。

陽介はその代わりに、カードを店員に渡していた。


「しばらくお待ちください」

そう言うと店員は、会計に向かった。


「陽、介。あの、これは」

…これはどういう意味。


「愛は、オレのモノって言う証だ。だから、絶対外すな」

「・・・でも、あの」

付き合うとか、好きだとか言う言葉はないのか。

…こんな高価な物を私に贈るんだし。



「は・ず・す・な・よ?いいな?」

「・・・はい」

・・・結局それだけ言って、

欲しかった言葉はもらえなかった。
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