結婚に愛はあるのか?
「愛に負担はかけたくない。今が一番大事な時期なんだから」

そう言った陽介は私の頭を優しく撫でた。

…陽介の心配は嬉しい。・・・でも、陽介やお義母さんの為に

何かできる事があるかもしれない。

もし…何も出来なくても、傍にいてあげる事は出来る。


お義母さんは今、きっと不安で一杯だろう。

傍に誰でもいいからいてあげるだけでも、不安は少し小さくなる。



「…お願い陽介、お義母さんの傍にいてあげたいの」

「・・・」


「陽介」

私の訴えに、しばらく考えた陽介だったが、小さく溜息をついた。


「…分かった、一緒に行こう」

「ありがとう」


「でも・・・体調が悪くなったりしたら、すぐに言えよ?いいな?」

「うん」

鞄を持った私たちは、病院へと向かった。


・・・病院の5階にある病室。お母さんはそこにいた。


検査を済ませたお父さんが、そこで酸素マスクを着け、

眠っていた。


「…母さん」
< 131 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop