結婚に愛はあるのか?
「貴方が、二人の結婚を認めるとは思いませんでした」

…病室の中、春子は椅子に腰かけ、誠治に言った。



「陽介や春子の言葉を聞いていろいろ考えた。

…すべては私の間違いだったと思い知らされたよ」


誠治の言葉に、春子は目を見張った。

まさか自分の非を認めるなんて、思いもしてなかったから。



「…貴方」

「春子も、私と同じで、ただの政略結婚だと軽い気持ちでいるものだと思ってた」


「…私は、貴方の会社のパーティーで、貴方に恋に落ちたの。

とても紳士的な貴方、困っている私を助けてくれた…。貴方は覚えていないかもしれないけど」


春子の言葉を、誠治は黙って聞いていた。


「そんな矢先に舞い込んだ縁談の話。…相手を知らされ驚いたわ。

でも、好きな人と一緒になれるならって、すぐにその話に乗った・・・

どんなに尽くしても、貴方は何も変わらなかった…だから、私は貴方を愛する事を止めた。

苦しむくらいなら、愛さなければいいと・・・」


「…春子を苦しめて悪かったよ。

・・・これからの人生、一から始めたい・・・

君を、心から愛してみたい…ダメかな?」

誠治の心のこもった言葉に、春子は目頭が熱くなった。


「…今更そんなこと言わないで、貴方は・・・・」

嬉しい、凄く嬉しいのに、手放しに喜べない春子。
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