結婚に愛はあるのか?
陽介のあの言葉は、偽りなんかじゃなかった?

気まぐれなんかじゃなかった?

…この指輪も、本気で、私に贈った物だった・・・?


私は、指輪に視線を落とした。

「その指輪、スッゴク素敵じゃない。

しかもティファニーだし…誰から貰ったの?

ぁ、もしかして、新しい彼氏でも出来た?」


美樹は、自分の事のように喜んで、私に聞いてくる。

「…まさか、自分で買ったんだよ。

たまには自分にも、ご褒美をあげようと思って」


・・・やっぱり、本当の事は言いにくかった。

ちゃんと、陽介の本心を聞くまでは。

彼の口から、好きだと言ってくれるまでは、美樹には言えないと思った。


…でも、陽介の連絡先くらい、

聞けばよかったと、思った。


…居酒屋の前で、美樹と別れた私は、

タクシーで自宅へと帰った。

玄関の鍵を開け、中に入ろうとした時、

突然、携帯が鳴りだした。

私は慌ててそれに出た。・・・遅い時間だったから、

近所迷惑を考えて。


「もしもし?」

『…帰りが遅い』

「・・・え?」

…どこかで聞いた事のある男の声。
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