結婚に愛はあるのか?
…不機嫌な顔のまま、陽介が、体を起こした。

・・・仕事に行く気になったのか?


「愛を抱いてから帰る」

「え、ちょ・・・ん・・・・」

…服を脱ぐ必要がない。

そんな二人は、朝から、熱い時間を過ごした。

…時間も忘れてしまう程。


「・・・もぅ!…遅刻」

結局ギリギリまでそんな感じだったせいで、

身支度も短縮して、仕事に行く羽目に。

・・・男は、時間はかからない。とはいえ、

一度は家に帰らないと、昨日のスーツのまま。


「じゃあね、私行くから」

溜息交じりに駐車場で言った私は、走って行こうとする・・が。


「送る」

「え、いいよ」

「うるさい」

…自分の事は後回しで、私を優先する陽介。

嬉しいけど、大丈夫なのかしら?

…車の中、陽介の顔ばかりに目が行く。


「…そんなに見てると、すり減る」

「?!・・・陽介も遅刻するんじゃない?」


「・・・」

その答えは、貰えないまま、会社に着いた。
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