結婚に愛はあるのか?
私がゴクリと息を呑んだ。

…このまま逃げても、何も解決しない。

ここまで来たんだから、言わなきゃいけない。


…意を決して、口を開いた。


「子供が出来たの」

「・・・」

私の言葉に驚くでもなく、黙ったまま、前を見据えている。


「…今、2か月だって」

「・・・」

私は、鞄の中から、あのエコー写真を出し、一瞬だけ陽介に見せた。


「明日検診なの」

「産むのか、産まないのか、愛が決めろ」

陽介の言葉に、ただただエコー写真を見つめた。


…産むのか、産まないのか、愛が決めろ?

産め・・・

おろせ・・・・

そんな言葉じゃなかった。


どちらかを私に決めろと言っている。


・・・そんなの決められないから、困っているのに。


「…おろすよ・・・赤ちゃんは、ここにいちゃいけないから。

愛されないくらいなら、この世に生を受けちゃいけない」

でも、私の口から出たのは、そんな言葉だった。
< 34 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop