結婚に愛はあるのか?
…次の日。

どしゃぶりの中歩いたせいで、風邪を引いた。

39度。…高熱だった。

ふらつく足で、何とか身支度を済ませ、

タクシーを呼んだ。

…高熱くらいどうってことない。

この子はもう、生まれてくることなんてないんだから。

電話を切り、間もなくして下へと降りた。


「どう・・して」

今にも消え入りそうなか細い声で、そう呟いた。


「・・・病院だろ?」

車に背をもたれかけていた陽介が、私に近づいてくる。


「来ない、で」

何とか立っている状態。足を踏ん張る。


「お前・・・」

私の静止なんて聞かずに近寄ってきた陽介は、

そう言って私を抱き寄せた。

・・・私は、それに安心してしまったかのように、

気を失った。


・・・何で今頃私の傍に来たのか?

・・・何で、私を抱きしめたのか?

何も聞けないまま、陽介の腕の中で、力尽きた。
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