結婚に愛はあるのか?
「産みます」

眠る私の横で、そんな声がした。


「それじゃあ何で、こんなひどい風邪をひかせたんですか?

大事な体だから、無理をしないでと、あれだけ言っていたのに」


先生の怒った声が聞こえる。

「すみません・・」

謝っているのは…陽介?


…ゆっくりと目を開けると、そこはベッドの布団の中だった。

脱水症状を起こしていた私は、点滴をうたれていた。


「目が覚めましたか?」

私の横に立ち、先生が問いかけた。


「・・・はい・・・ここは?」

「病院ですよ。・・・驚きましたよ。

高熱で脱水状態まで起こすほど放っておいて・・・

赤ちゃんも、貴女も、危なかったんですよ」


そう言って溜息をついた先生。

「先生、赤ちゃん」

「ええ、とても元気ですよ・・・

お父さんにはお灸をすえましたから・・・

熱が下がるまでは、入院してくださいね?

手続きは、お父さんがしてくれましたから・・・

赤ちゃんの為にも、安静にしててくださいね」

「・・・」

先生の言葉が理解できなかった。
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