結婚に愛はあるのか?
「で?産むのか?産まないのか?」

奏は、美樹の手を握りしめ、オレに問いかける。


「・・・」

「まさか、おろせとか言ったんじゃないでしょうね?」

黙ったオレを見て、美樹が少し怒った口調で言った。


「まさか、そんな事は言わない」

「じゃあ、なんて言ったの?」

しばらくの沈黙の後、オレはその答えを言った。


「産んでほしい・・・そう言ったよ」

オレの言葉に、ホッとため息をついた二人。


「じゃあ、何の問題もないんじゃないのか?

陽介は、愛ちゃんの事が好きで、子供を望んでいる。

愛ちゃんだって、言葉では言わないけど、付き合ってんだから、

好きだと思うし、子供も望んでんだろ?」


奏の言葉に、ズキンと胸が痛む。

その言葉にはイエスとは、応えられないから。

黙ったまま首を振って見せた。


「・・・愛、赤ちゃん、産みたくないの?」

グッとオレの方に顔を近づけた美樹が問いただす。


「…そう、愛は、赤ちゃんをおろすって言ってる」

「「なんで??」」

何で?…オレが聞きたいよ。
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