結婚に愛はあるのか?
「その理由がちっともわからないから。

ただ、愛の口から・・・

子供を愛する自信がないって・・・

オレを愛する自信もないって、そう言ったんだ」


「「・・・」」


「愛は、何かを抱え込んでると思うんだ。

普通の人なら、そんな事、あんまり口にする言葉じゃないし。

美樹ちゃんなら、その理由、知ってるんじゃないかと思って」


そう言って、真っ直ぐに美樹を見つめる。

美樹は、小首を傾げ、思い出そうと必死のようだった。


「・・・何か、思い出せそうか?」

奏は、横で美樹に問いかける。


「…仲良くなって、一度だけ。

愛の両親のことを聞いた事がある・・・

両親が離婚したって。…今は全然、連絡すら取ってないって。

いくら両親が離婚したって、連絡くらいは取ると思うの。

・・・愛はきっと、そのせいで、愛し方が、わからなくなったんじゃないかな」


そう呟いた美樹は、突然立ち上がり、

オレの目の前までやってくると、オレの両手をガシッと掴んだ。

オレは目を見開き、ただただ美樹を見つめた。


「愛は本当にいい子なの。

大人で優しくて、いつも人の事ばかり心配してくれるいい子。

陽介君、貴方なら、愛を幸せに出来るんじゃなかって思う。

私の感だけど・・・

愛の事で、こんなに悩んでる彼氏を見たのは陽介君だけだから」
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