結婚に愛はあるのか?
・・・朝。目覚めると、少し熱が下がったのか、

体のだるさは無くなっていた。

『もうしばらく、点滴をしますね。

食事もまともにとられないようなので、

栄養も混ぜて、点滴しておきます』


回診に来た先生に言われ頷いた。


「…この中に、いるんだよね」

まだまだ目立たない、ぺったんこのお腹を、

優しく撫でた。

…愛情のない母親でごめんね。

…あなたがお腹の中にいるのに、無理ばかりしてゴメンね。

そう心の中で呟くと、胸が締め付けられ、涙が溢れた。


妊娠中は眠くなる。

私は寝ては起き、寝ては起き、の繰り返しで一日を過ごした。

…夜は、逆の目が覚めて、外の暗闇を見つめていた。


トントン・…ガチャ。

私の返事も聞かずに、ドアは静かに開いた。

「・・・」

ドアの向こうには、陽介が立っていた。

今日もスーツ姿で、仕事帰りなのが分かった。


「具合はどう?」

「・・・熱は、だいぶ下がった」

私の言葉に、安堵した陽介は、私のベッドに近づいた。

「ここ、座ってもいい?」

「・・・う、ん」
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