結婚に愛はあるのか?
突然神妙になった私を見て、

沙織も正座をして、私を真っ直ぐに見つめた。

「何々?」

でもその目はキラキラとして、何を言い出すのか、

楽しみでたまらない様子。


「えっと、私、・・・その、あの・・・」

「もぅ!じれったいな、早く言ってよ。気になるから」

そう言って沙織に急かされて、意を決してその事を口にした。


「妊娠してるんです、私」

「・・・・・」

私の言葉に、驚きすぎて、口を開けた沙織。

その顔に思わず笑ってしまった。


「なんて、顔してるんですか?」

「だ、だって、あまりにも爆弾発言で…彼氏は?」


「います…いました。でも別れました…と言うより、

彼氏から逃げ出しちゃいました」


「何それ?なんで逃げる必要があるの?

そんなの彼氏に責任とってもらって、産むなら結婚しなくちゃ」

私の手を握った沙織が、そう言う。


「…ダメなんです」

「何?彼氏、暴力とかふるう人なの?」

「まさか!・・・そんな人じゃないんです。凄く優しい彼です」

「…そうなの?・・・でもまぁ、愛ちゃんがそう決めたんなら、

いいんじゃない?」
< 60 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop