結婚に愛はあるのか?
「・・・え?」

俯かせていた顔をそっとあげた。

沙織の顔は、とても優しい表情だった。


「…これも、何かの縁だと思うの。

その子、産むんでしょ?」

沙織の言葉に、小さく頷く。


「じゃあ、私が父親代わりになってあげるからさ、

ぁ、女だけどね?・・・私にどんどん甘えなさいよ。

私もいつ結婚しちゃうかわからないけど…って、彼氏いないんだけど。

それまでは、出来る事はやってあげたいから・・・

愛ちゃんって、守ってあげたくなっちゃうタイプだわ」

そう言って笑う沙織。


「沙織さん…本当にいいんですか?」

「いいに決まってるじゃない。遠慮しないで、どんとかかってこいよ」

「…あり、がと」

「あぁ、もぅ、泣かないの!ほら、食べよ?

愛ちゃんは二人分しっかり食べなきゃ!細すぎるから」


…沙織の優しさが、心に沁みる。

私は人に恵まれている・・・

今まで、恵まれなかったから、かな・・・

そんな事を考えながら、沙織とご飯を食べた。
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