結婚に愛はあるのか?
「バッ!優也兄さん、昔の事を蒸し返さないで。

今は、愛と、陽介の話しでしょ?!」


慌てて沙織が止めに入ったが、もう遅い。

すべて聞いてしまった。

まぁ、昔の話しだ…高校の時なんだし、

今は、もうお互い、いい大人なわけだし。

そう、頭では理解できるが、心がズキズキと痛んでしまう。

…まさか、沙織が、陽介の元カノとか、なんて偶然なんだろうか?

色んな偶然が重なり過ぎて、偶然にも思えない。


「ちょっと静かにしてください」

なんだかいたたまれなくなってきて、そう口をはさんだ。

ここに来て、初めて発言した私を見て、皆が黙った。


「すみません・・私事なのに・・・

でも、あの、少し、2人で話してきてもいいですか?

話しが進まないので・・・」

小さな声で呟けば、


「いや、いい、オレと沙織が部屋に戻ってるから。

ここでゆっくりと話せばいいよ」

そう言った優也は、沙織をグイグイと引っ張って、

部屋に押し込んでいた。


…改めて二人きりになる。
< 84 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop