結婚に愛はあるのか?
…陽介にすべてを話したら、どう思われるだろう?

私に嫌気がさすだろうか?それとも嫌悪感を感じるだろうか?

思い浮かぶのは、悪い事ばかりで。

話そうかどうしようか、悩んでしまう。


「ゆっくりでいい、オレは、ありのままの愛が知りたい」

そう言った陽介は、いつの間にか私の横に座り、

私の手を優しく握りしめた。


…話してみようか。…もし嫌われても、陽介の事を諦めればいい。

今まで、男を捨てる事なんて、何とも思わなかったんだから。


「私の両親、離婚してるの。…私が小さい頃は本当に仲のいい夫婦で、

私は心底幸せだった。姉も妹とも仲が良かった私は皆から愛される、

そんな女の子だった。…でもそれはすべて間違いだと思い知らされた」


その瞬間、私は手を握りしめていた。

今まで目の前に会った『愛』は、すべて偶像でしかなかったことが

悲しくて、辛くて。


そんな私の手を、陽介は相変わらず握ったままで、その手のぬくもりに、

私は陽介の顔を見た。

陽介は優しい表情で、私に言った。


「大丈夫、愛にはオレがいるから」

そう言われたことが、どれだけ嬉しかったか。
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