ど ん な 君 で も 、
「おはよう」

そんな挨拶が駐輪場で飛び交う中、
わたしとふうちゃんは、
いつもの近道を利用する。
本当は通っちゃいけないことぐらい知ってるけど、
まあ、いいよね。
大丈夫大丈夫。
ほら、ほかにも通ってる子いるじゃん。

普段どおり、何を話すってわけでもなく、
ただ肩を並べて歩く。
ふうちゃんとなら、しゃべらなくても、
まったく気まずくない。
だから、一緒にいて、すごく楽に感じるんだ。

「あ、靴箱ついた。」

靴箱にクラス発表の紙がはられている。
わたしたちが、学校についたのは、
みんなより、遅かったから、
他の人たちは、既に発表を見ていたから、
靴箱の周辺には、2,3人しかいなかった。

「行くか」

よし。
と、手袋をつけた手を握り締め、
クラスが離れてしまっても、涙がでないように、
少しだけ、覚悟を決めてから、
靴箱の張り紙をみた。

「2年C組 安田理子
     松本楓香」

「まじかまじかまじか」

わたしとふうちゃんは、
こいつら、気が狂ってるんじゃないか
と思われるくらい大きな声で、
見つめあって、手を取り合って、
ぐるぐる回転した。

「やっぱうちら、運命なんだよ。」

「そうだね、ふうちゃんと運命なんて、
わたし恵まれてるよ」

「何嬉しいこと言ってくれてんだよ、」

なんていう他愛もない会話を経て、
2年C組のクラスメイトの名前を見ていた。

「ゆきなちゃんいるじゃん!!」

「ほんとだ!!すみれもだよ!!」

わたしとふうちゃんの仲良しな友達が、
C組にはたくさんいて、安心した。

「てか、こうちゃんいるんだけど?
まじなんなの、ほんと」

こうちゃんとは、わたしの幼馴染である。
中学生になってから、驚くほど女タラシになって、
彼氏のいる人から、女を奪ったり、
キスするだけして、ポイしてみたり、
わたしはすごく見苦しかった。
そんなやつ、幼馴染と思いたくなかった。
こうちゃんも、やっと本気の恋をしたのか
って思ったことがあった。
心から応援した。
でも、こうちゃんは、どうでもよくなったと言って、
その子をフッた。
けんかもした。

でも、こうちゃんともわたしは、運命なのかもしれない。
きってもきれない縁とは、このことなのか。
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