another day -あなたから愛される日-
「この前、莉奈ちゃんと久々に会ったんですけど、なんか元気なくて…。」
「それは俺が約束をすっぽかして…。」
「この前もこのくらいの時間でした。ずっと誰かを待ってたみたいだったけど、見てられなくて声かけちゃいました。」
このくらいの時間って…約束したのは確か七時。
あいつは…いや、俺はバカだろ…。
「夜に一人であんな可愛い子が外にいたら危ないって思わないんですか?」
ずっと穏やかにしゃべっていた彼の口調が突然変わった。
「莉奈ちゃん、すごく幸せそうに恋人のこと話してて、これは入れる隙なさそうだなってあきらめてました。でも、相手があなたみたいな人なんて…。約束はすっぽかすは彼女のことまるで考えてない。」
俺は、頭を殴られたような衝撃をくらった。
「俺、奪いますよ。」
そう言った彼の胸倉を思わず、つかんでしまった。
「てめぇ…。」
「愛してるんなら、そう言えばいいじゃないですか。莉奈ちゃん、さみしそうで見ていられなかった。」
また穏やかな口調に戻った彼に少しだけ安堵。
「俺には彼女いるんで心配しないでください。ただ、莉奈ちゃん狙いの人なんて、そこらじゅうにいますよ。」
彼はそう言って喫茶店を出て行った。