極上ショコラ【短】
―――――――…



マンションの自動ドアの前で、ルームナンバーを押す。


「玄関の鍵は開けてある」


途端に不機嫌な声が聞こえたかと思うと、すぐにプツリとモニターを切る音が鳴った。


ため息混じりにエレベーターに向かい、今日は何に対して機嫌が悪いのかと考える。


だけど…


残念ながら、篠原の部屋に着くまでに明確な答えを導き出す事は出来なかった。


「お邪魔します。……先生?」


電気の点いているリビングのドアを開け、ゆっくりと顔を覗かせる。


「遅(オセ)ぇよ」


ソファーで横になっていた篠原は、予想通り仏頂面をしていた。


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