極上ショコラ【短】
別に比べるつもりは無いし、自分(アタシ)なんかが女優と同じ土俵に立てる訳も無いけど…


「篠原先生、エスコートして下さいませんか?」


勝ち誇ったような笑みに居た堪れなくなって劣等感を抱いてしまい、篠原に密着するセリナさんから視線を逸らした。


ただ、彼はきっと不機嫌なはずだから断る言い訳を考えているのだろうと思い込み、何の疑いも不安も無かった。


だけど…


「そうですね。行きましょうか」


篠原は、実にあっさりと快諾したのだ。


驚きで小さく見開いた瞳を慌てて二人に遣ると、彼がさりげなくセリナさんから腕を抜き、細い腰に手を添えたところだった。


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