極上ショコラ【短】
本当は、もっと可愛いげを持ちたい。


セリナさんのような器量は微塵も無いのだから、せめて性格くらいは“いい女”でいたい。


だけど…


「だから、セリナさんの誘いを受けたんですよね?」


この可愛いげの無い性格は、そう簡単には直らないらしい。


そんな自分に嫌気が差し、再び嫉妬に包まれた胸の奥が酷く痛んだ。


見つめられたままの顔を逸らす事は出来なくて、せめて視線だけでも逃げようと顎を小さく引く。


「……ったく、お前は」


すると、篠原がどこか呆れたようにポツリと呟いたかと思うと、心底苛立ったようにチッと舌打ちをした。


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