極上ショコラ【短】
「……一回しか言わねぇからな」


篠原はそんな前置きをすると、あたしの顎を掴んでお互いの視線をピタリと合わせた。


間近で見せられる真剣な表情があまりにも綺麗で、まるで金縛りに遭ったかのように瞬き一つ出来ない。


「愛してるよ、雛子」


そんなあたしに、篠原はそれはそれはとろけるように甘い囁きを落としたのだ。


その言葉の意味を一瞬で理解したあたしの胸の奥から熱が込み上げ、意図せずに視界に映る彼が滲む。


「ほら、雛子もちゃんと言えよ」


「俺も言ったんだから」と付け足した篠原は、真っ直ぐな瞳を向けたままあたしの言葉を待っていた。


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