極上ショコラ【短】
「……おい」


らしくない事を考えていると、篠原の低い声が響いた。


「中学生レベルのキスで、俺に勝ち誇ったみてぇな顔してんじゃねぇよ」


“そのキス”に動けなくなったくせに、と言いたくなったのを我慢する。


「お前のせいで萎えちまったし、キスから仕切り直すか」


すると、また責任転嫁をした篠原が独り言のように呟き、ニヤリと笑った。


「んっ……!」


唇を塞がれたのはその直後で、あっという間に舌を奪われた。


ずっとあたしの内(ナカ)に埋められたままだった篠原自身は、確かに彼の言葉通り硬さが僅かに和らいでいる。


だけど…


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