極上ショコラ【短】
「覚えとけ。キスってのは、こうするんだよ」


吐息すらも奪われるような長いキスの間に、また元の硬さを取り戻していた。


荒い息を整えるあたしを見て、篠原が口元に満足げな笑みを浮かべる。


そのまま視線を上げた彼は、フッと瞳を緩めて笑った。


「今日はバレンタインか」


落とされた言葉で、いつの間にか日付が変わっていた事を教えられた。


「なぁ、これって俺のだよな?」


すると、クラッチバッグに入れていたはずの小さな箱を、目の前に差し出された。


中身は、“パヴェ・ド・ショコラ”。


もちろん、篠原に渡すつもりだった物だ。


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