極上ショコラ【短】
―――――――…



ぼんやりとした視界に、朝の目覚めを予想する。


「……っ、痛……」


白濁したような世界から目を覚ましたあたしは、怠い体を動かそうとしたところで軋むような痛みに見舞われて、意図せずに力が抜けてしまった。


「やっと起きたか」


「あ……」


背後から聞こえて来た声に顔を向ければ、ベッドに背中を預けている篠原があたしを見ていた。


本をパタンと閉じた直後、ベッドが彼の体重の分だけ軋んだ。


「……あれくらいでへばってるんじゃねぇよ」


不満げな顔であたしの体を跨いだ篠原に、とてつもなく嫌な予感が過ぎる。


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