祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「ごめんっ…本当にごめん。お前をここまで追い詰める事になるなんて思ってもなかった…」



イノリは震えながら、心に大きな傷を負っている小さなキヨの体を強く抱きしめていた。




「…俺は何も変わってねぇな。自分の事ばっかでいつも誰かを傷つけてる。…もう…大切な人を失うのは嫌だ…」





イノリの言葉を聞いたキヨは、涙を流しながら震える手でイノリにしがみついた。



そんな2人を見ながら、カンナとカゼは泣きじゃくるケンの背中を押して静かに病室から出て行った。





「…イノリ。全てを私に教えて?……全部1人で抱え込むから逃げたくなるんだよ。…私はもうイノリと離れたくない。だから話して」




イノリは少し落ち着きを取り戻すと、キヨを抱きしめながら秘めていた想いを話し始めた。








それはまだ、中学3年生の頃。


中学生といえば性が芽生え、男の子から男性になり始める時期。



だからと言って、いつも一緒にいるキヨやカンナを性の対象として見る事はないイノリ。





「あー!キヨとヤりたい!!」

「………ケン、下品」

「だってさ、最近キヨ女っぽくなったもん。やっぱり生理始まると変わるなぁ」

「………だから下品だって」




ケンの下らない欲の話を興味なさそうに聞いているカゼ。



年頃になった男3人は、キヨとカンナがいない時は男ならではの話をしていた。
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