祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
イノリが顔をあげるとそこには、高校の制服を着たキヨの姉の華月と見知らぬ男が口論していた。



聞こえてくる話は、どうやら別れ話のもつれらしい。




華月はキヨと違って頭も良く、顔が端麗で手足も細く背も高い。

世にきく美少女。



その為、見る度違う男をよく連れて歩いている。





「またか。華月も懲りねぇな…」




イノリが呆れて華月を見ていると、一緒にいる男が華月の事を殴り始めた。



見過ごすわけにもいかないイノリは、慌てて2人に駆け寄った。





「お前っ…女に何してんだよ!」

「っ…祈!?」




イノリは華月の前に立つと男を睨む。


体の大きなイノリに見下ろされた男は、華月を睨むとその場から立ち去った。





「大丈夫か?」

「ありがとう、祈。でも大丈夫。男に殴られるのなんて日常茶飯事だもの」




華月は鞄からハンカチを取り出すと、口元を拭った。
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