祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
キヨは大切にしてきた繋がりが完全に千切れた事を実感した。



だから、全てを終わらせる為に
新たな道を歩く為に



大学を辞め、あの家を出て地元へと帰る事を決めたのだった。





「…歩けるよね。1人でも歩いていけるよね」



家に着くとキヨは、部屋で荷造りをし始めた。





「キヨ、今時間いい?入るよ」

「え!?ケン?ちょっと待って!」




キヨは荷造りした段ボールをクローゼットに隠すと、ケンを招き入れた。




「どうしたの?こんな時間に」

「うん。ちょっと話があってね」

「そっか、座って座って」



キヨはケンにクッションを渡すと隣りに座った。


目が泳いでいるケンを見てキヨは首を傾げる。




「キヨはまだ、イノリが好き?」

「…ううん。もう何とも思ってないよ。好きでも嫌いでもない」

「ふっ。キヨは嘘ついてるとすぐわかる」



ケンはキヨの髪を撫でた。


ケンの手はまるで壊れやすい宝石でも触るかのように優しい。
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