祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
182cmのイノリと150cmのキヨのデコボコの影が地面に伸びる。



2人が手を繋いで歩いていると、見慣れた男が反対の歩道を歩いていた。




「あれ、カゼじゃない?」

「本当だ。あいつバイトじゃねぇのか?」



2人がカゼを追っていると、カゼは見知らぬ女とどこかへ消えていった。




「今の女の人誰か知ってる?」

「知るわけねぇだろ。あんな小綺麗な女」



イノリとキヨは顔を見合わせて頷くと、カゼの消えて行った方へ走っていった。




暫く行くと高級そうなレストランに着いた2人。


窓から中を覗くと、カゼと見知らぬ女は向かい合わせに座り、食事をしていた。





「…どうする?こっそり中に入ってみる?」

「でもこのレストラン、コースで2万って書いてあるぞ。お前そんなに金持ってねぇだろ」




2人は財布と相談すると諦め、カゼのいるレストランの反対にあるカフェへと入った。


カフェの窓からレストランを見張る2人。




「誰なんだろう、あの人。カゼはお兄ちゃんしかいないから身内ではなさそうだし」


「彼女じゃねぇの?カゼは顔に出ないから俺らが気付かなかっただけで」




キヨとイノリはマキアートをかき混ぜながらカゼを見つめていた。
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