祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
キヨが月を見ながらそう思った瞬間。
下腹に物凄い痛みが走った。
「――っあ!!!!」
キヨは腹を押さえながら、その場にうずくまる。
何かが消える感覚。
痛い…
身体も心も裂けそうに痛いよ……
キヨはそこから意識を失った。
「………キヨ!!キヨっ!!」
キヨが意識を取り戻すと、目の前にはカゼの綺麗な顔があった。
キヨはぼんやりとその顔を見つめる。
「………大丈夫?どこか痛くない?」
「うん…。大丈夫。私…どうしたの?」
「………道端で倒れているのを見つけた人が救急車呼んでくれたんだよ。で、キヨの携帯の着信履歴にあった俺の番号に連絡してくれたんだ」
「そっか。…よかった、連絡したのがカゼの携帯で」
キヨは薄く微笑むと目を瞑った。
カゼはそんなキヨを見て、ぽつりと話し始めた。
「………キヨ。あのね、キヨは流産しちゃったんだ」
「…え?」
「………ここに運ばれた時は、もう既に死んじゃってたんだって。…きっとお腹の子は、キヨを守る為に命を張ったんだね」
カゼが悲しそうな表情をしながらキヨの頭を撫でると、キヨは涙を流した。
「お腹にいた子は、わかってくれたのかな?私の気持ちを…。私が産む事を望んでいないと知ったから死んじゃったんだね。
さすがカゼの子どもだね。お父さんに似て、正義感に溢れる優しい子だったんだね。
ごめんね、産んであげられなくて……本当にごめんなさい」
キヨはそう呟きながら、もう誰もいない腹を撫でた。
私はもう、妊娠する資格はない。
…でも、それでいい。
私は一生授かる事のないイノリとの子どもしか望めないから、妊娠なんかしなくていい。
下腹に物凄い痛みが走った。
「――っあ!!!!」
キヨは腹を押さえながら、その場にうずくまる。
何かが消える感覚。
痛い…
身体も心も裂けそうに痛いよ……
キヨはそこから意識を失った。
「………キヨ!!キヨっ!!」
キヨが意識を取り戻すと、目の前にはカゼの綺麗な顔があった。
キヨはぼんやりとその顔を見つめる。
「………大丈夫?どこか痛くない?」
「うん…。大丈夫。私…どうしたの?」
「………道端で倒れているのを見つけた人が救急車呼んでくれたんだよ。で、キヨの携帯の着信履歴にあった俺の番号に連絡してくれたんだ」
「そっか。…よかった、連絡したのがカゼの携帯で」
キヨは薄く微笑むと目を瞑った。
カゼはそんなキヨを見て、ぽつりと話し始めた。
「………キヨ。あのね、キヨは流産しちゃったんだ」
「…え?」
「………ここに運ばれた時は、もう既に死んじゃってたんだって。…きっとお腹の子は、キヨを守る為に命を張ったんだね」
カゼが悲しそうな表情をしながらキヨの頭を撫でると、キヨは涙を流した。
「お腹にいた子は、わかってくれたのかな?私の気持ちを…。私が産む事を望んでいないと知ったから死んじゃったんだね。
さすがカゼの子どもだね。お父さんに似て、正義感に溢れる優しい子だったんだね。
ごめんね、産んであげられなくて……本当にごめんなさい」
キヨはそう呟きながら、もう誰もいない腹を撫でた。
私はもう、妊娠する資格はない。
…でも、それでいい。
私は一生授かる事のないイノリとの子どもしか望めないから、妊娠なんかしなくていい。