祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「………キヨ、結婚しよう。もう子どもはいないけど俺はキヨを守りたい」
カゼがそう呟くと、キヨは首を横に振った。
「カゼはカンナを大切にしてあげて。それが私への罪滅ぼしだって言ったでしょ?…もう、何も迷わないでカゼはただカンナの事だけを考えててあげて」
「………でも俺は」
「カゼにはイノリと同じ想いをして欲しくない。だからいいよ。何も気にしなくていいから、あなたはあなたの幸せを掴んで」
キヨがそう言うと、カゼは涙を流しながらキヨを抱きしめた。
「………ごめんっ…ごめんな。俺は本当に…キヨと子どもを守りたかったよ。大切にしたかったよ…。この手で…抱きたかったんだよ」
「…ありがとう、カゼ。ごめんなさい…」
1人にしないでくれてありがとう。
優しくしてくれてありがとう。
一瞬でも愛そうとしてくれてありがとう…。
巻き込んでごめんなさい。
悩ませてごめんなさい。
悲しませてごめんなさい…。
カゼを愛して可愛い子どもを生んで、イノリの事なんか忘れて笑えたのなら、きっと幸せだった。
でもイノリ以外の人との未来は描けなかったの。
私が弱かっただけ。
私が、最低なだけなの。
だから、カゼは幸せになって。
あなたは何も悪くないのだから…
キヨが暫くして退院した後、キヨは母に、カゼはイノリに電話でキヨが妊娠していなかったと伝えた。
でもそれはもう意味のないこと。
キヨはそれから少し経った頃、ケンと共に家を出て行った。
カゼがそう呟くと、キヨは首を横に振った。
「カゼはカンナを大切にしてあげて。それが私への罪滅ぼしだって言ったでしょ?…もう、何も迷わないでカゼはただカンナの事だけを考えててあげて」
「………でも俺は」
「カゼにはイノリと同じ想いをして欲しくない。だからいいよ。何も気にしなくていいから、あなたはあなたの幸せを掴んで」
キヨがそう言うと、カゼは涙を流しながらキヨを抱きしめた。
「………ごめんっ…ごめんな。俺は本当に…キヨと子どもを守りたかったよ。大切にしたかったよ…。この手で…抱きたかったんだよ」
「…ありがとう、カゼ。ごめんなさい…」
1人にしないでくれてありがとう。
優しくしてくれてありがとう。
一瞬でも愛そうとしてくれてありがとう…。
巻き込んでごめんなさい。
悩ませてごめんなさい。
悲しませてごめんなさい…。
カゼを愛して可愛い子どもを生んで、イノリの事なんか忘れて笑えたのなら、きっと幸せだった。
でもイノリ以外の人との未来は描けなかったの。
私が弱かっただけ。
私が、最低なだけなの。
だから、カゼは幸せになって。
あなたは何も悪くないのだから…
キヨが暫くして退院した後、キヨは母に、カゼはイノリに電話でキヨが妊娠していなかったと伝えた。
でもそれはもう意味のないこと。
キヨはそれから少し経った頃、ケンと共に家を出て行った。