祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
暫くすると、レストランからカゼと女が出て来た。


イノリとキヨもカフェから出て2人の後を尾行する。




すると、少しだけカゼ達の会話が聞こえてきた。




「本当に風はカッコいいわね。その顔大好きよ」

「………ども」


「大好きだって!やっぱり彼女なのかな!?」

「いってぇな!叩くな!!」




カゼ達の会話に興奮したキヨはイノリの肩をバシバシと叩く。


ただ、彼女かもしれない女といる割に、カゼの態度はいつもと変わらない。




「カンナはあの女の人の存在知ってるかな?」


「さぁな。でもカンナは察しがいいから気付いてるかもしんねぇな」


「…カンナ、昔からあんなにカゼの事好きなのに、カゼは気付いてないのかな」


「男の俺から見てもカゼがなに考えてんのかわかんねぇから、何とも言えねぇ」






大学3年生の5人は

この20年間を共に過ごしてきた。




幼なじみや親友という言葉では表現出来ないもので繋がっている5人。



だけど、その繋がりが邪魔をして本音を打ち明かさない時がある。




繋がりを大切にするあまり、真実を嘘に変えてしまっている5人の関係が絡まり始めている事に


気付いている者はいなかった。
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