祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
ケンは知ってるんだ。
まだ私がイノリを想ってる事を。


それでもそばにいて笑ってくれている。





「イノリ、今何してるのかな?」


ふとした時でも、私を思い出してくれている?





キヨはそんな事を思いながら、風が吹き込む窓の外を眺めていた。




その時、キヨの携帯が鳴る。

着信は華月からだった。




「…もしもし。どうしたの?」

「話があるんだけど、今から会えないかしら」

「今から?…ちょっと待ってね」




キヨは保留ボタンを押すと、ケンの元に向かった。





「ケン、ちょっと出掛けてきてもいい?お姉ちゃんが話があるって言ってるんだけど」


「俺はいいけど、キヨ大丈夫なの?お姉さんの話って、俺が思うにイノリの事だと思うんだよね」


「大丈夫。何を言われてももう動じないよ。私とイノリの関係は今以上悪化なんてしないもの」


「そっか。でも何かあったらすぐ帰っておいで。無理はするなよ」




キヨは頷くと再び電話に出る。


華月と待ち合わせの約束をすると、キヨは支度をして街へと出掛けた。
< 153 / 479 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop