祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
その時、美咲がふらつき倒れそうになるとカゼは細い腕を引っ張り、抱き寄せた。




「ありがとう、風。…食べてないから貧血かしら」

「………病院に行った方がいい」

「大丈夫よ。今だって気分転換にDVD借りに来たくらいだもの。借りて早く帰るわ」




美咲はカゼから離れると、借りるDVDを選び始めた。

カゼはそんな彼女を見つめる。


そんなカゼの元にカンナがやってきた。




「なんでDVD売り場にいるのよ。探したじゃない!私、CD買っちゃったよ?」

「………カンナ、俺ちょっと義姉さんを送って行くから待ってて」

「え?お姉さんって…」




カゼが見ている方を見ると、そこには華奢で綺麗な大人の女性がいた。


背の高いカンナとは正反対の小柄な女性。





「………何か貧血みたいで危ないから」


「でもお義姉さんって、カゼが前好きだった人でしょ!?私やだよ…」


「………大丈夫。今俺が好きなのはカンナだから」


「そうだけど…。でもやっぱり嫌だ!わざわざカゼが送らなくてもタクシー呼べばいいじゃない!!行こう、カゼ」




カンナはカゼの腕を掴む。
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