祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「………カンナ、今から帰るから、俺が帰ったらデートの続きしよう」
「…仕方ないわね」
「………指輪。買いに行こうか」
「指輪?…本当に?」
カゼの言葉にカンナは涙を流す。
電話口で、ケンとキヨがヒューヒューとカンナをはやし立てる声が聞こえる。
「………急いで帰る。待っててね」
「うん、待ってるよ」
「………色々あったけど、俺が今好きなのはカンナだからね」
「私もよ、カゼ」
電話を切ったカゼは家に向かって車を走らせる。
カゼは指輪を選びながら喜ぶカンナを想い浮かべ、柔らかく微笑んでいた。
しかし、その時――…
赤信号なのに直進してきた車がカゼの車に勢い良くぶつかった。
それは一瞬の出来事だった。
カゼは接触した衝撃で頭を強く打ちつけ、意識が薄れる。
微かに聞こえるのは心配する人々の声。
「おい!!大丈夫か!?今救急車呼んだから頑張れ」
「救急車はまだか!?」
「出血が酷い!!誰かタオルはないか!?」
救急車の到着を待ちながらカゼと、接触した車の運転手に声を掛ける歩行者。
カゼはどこからか流れてくる血を力が入らない手で触った。
血は赤くて温かい。
自分の体にはこんな液体が流れていたのか…と、薄れていく意識の中カゼは思った。
「…仕方ないわね」
「………指輪。買いに行こうか」
「指輪?…本当に?」
カゼの言葉にカンナは涙を流す。
電話口で、ケンとキヨがヒューヒューとカンナをはやし立てる声が聞こえる。
「………急いで帰る。待っててね」
「うん、待ってるよ」
「………色々あったけど、俺が今好きなのはカンナだからね」
「私もよ、カゼ」
電話を切ったカゼは家に向かって車を走らせる。
カゼは指輪を選びながら喜ぶカンナを想い浮かべ、柔らかく微笑んでいた。
しかし、その時――…
赤信号なのに直進してきた車がカゼの車に勢い良くぶつかった。
それは一瞬の出来事だった。
カゼは接触した衝撃で頭を強く打ちつけ、意識が薄れる。
微かに聞こえるのは心配する人々の声。
「おい!!大丈夫か!?今救急車呼んだから頑張れ」
「救急車はまだか!?」
「出血が酷い!!誰かタオルはないか!?」
救急車の到着を待ちながらカゼと、接触した車の運転手に声を掛ける歩行者。
カゼはどこからか流れてくる血を力が入らない手で触った。
血は赤くて温かい。
自分の体にはこんな液体が流れていたのか…と、薄れていく意識の中カゼは思った。