祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
カゼは今何処にいるのだろうか。



キヨが言う最後に見た夢が天国と地獄に分けられるのなら

カゼには幸せな夢を見ていて欲しい。





生まれ変わった自分に今のこの記憶がなくても、またこの自分に生まれ変われるならそれでいい。




ただ1つ願うのは

何度でも5人の幼なじみに生まれてきたい。



そしたらまたカゼに会えるよね。





4人はそう思った。








数時間後、棺桶に眠っていたカゼは灰と骨だけになって出てきた。



もうどこにも…
カゼの姿はなかった。






あの時キヨ達は、カゼと一緒に焼かれて灰になりたいと思った。


5人は5人でひとつの存在だったから…







神様…
どうして?


カゼだけを消してしまったの?

どうして…
カゼだけがもういないの?



カゼが死ぬのが早過ぎただけ?

ただそれだけの事なの?




それとも神様は
外見も性格も完璧な人間として作り出したカゼが欲しかったの?




ねぇ…
どうして…?








雲のない青空に伸びていたカゼの煙は

風に吹き消されたかのように


いつの間にか消えていた。
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