祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

22・〜回想編・夏〜

遠くで響く花火の音。
生ぬるい空気の匂い。
虫達の合唱。



暑い夏が来ても

変わらずそばにある5つの存在。







〜回想編・夏〜







夏の夜は決まって近くのコンビニに足を運ぶ5人。

高校生の今も変わらない。



コンビニでアイスを買って食べながら歩くのが好きだった。



「さっきのコンビニに夏祭りの貼り紙が貼ってあったけど、もちろん今年も行くだろ?」



ケンの問いに、当たり前だろとでも言った表情で4人は頷く。




「キヨ、今年も浴衣着てね♪俺、キヨの浴衣姿好きなんだ」

「もちろんだよ。夏じゃなきゃ着れないもん」

「やったぁ!去年の浴衣姿のキヨの写メね、俺の待ち受けなんだよ♪」



ケンは携帯の待ち受け画面をキヨに見せる。


キヨはイノリの服の裾を握りながらケンと話していた。



すると、イノリがケンを叩きケンの携帯は強く地面に叩きつけられた。



「あー!何すんだよ、イノリ!!」

「わりぃ。蚊が止まってたから」

「とか言って、俺が浴衣姿のキヨの画像持ってるのが羨ましかったんだろ!」



ケンは携帯を拾うと砂を払う。



そんな3人のやり取りを見ていたカンナとカゼは笑っていた。
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