祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「カゼ?何か思い付いたの!?」



キヨがカゼを見るとカゼはコクンと頷き、何かを取りに向かった。




「あいつ、何思いついたんだろうな」

「…カゼの事だから期待はしない方がいいと思うわよ」



イノリとカンナは、カゼが去って行った方を見ながら呟いた。




暫くして庭に戻ってきたカゼは、何故か自転車に乗っている。



「なんで自転車に乗ってるのよ」

「………目隠しして自転車乗ったまま、スイカをひけば割れる」

「お前にちょっとでも期待した俺がバカだったよ」



4人がため息をつくと、カゼは目を瞑って自転車を漕ぎ出した。




「わわっ!カゼ、前前っ!!」



カゼはスイカをひく事なく庭の花壇に突っ込んだ。


植木鉢が割れる音や花壇が破壊される音が響く。




「人んちの庭破壊すんな!ケンの家だからいいものの」

「どういう意味だよ、イノリ!!」



キヨは花壇に倒れているカゼを起こすと、何かを閃いた。




「包丁持って目隠しすればよくない?綺麗に切れそうだし♪」

「…キヨ。お前は俺らの誰かを殺したいのか?」

「………だから自転車…」

「カゼは黙ってろ!!」



何かを閃くキヨと、自転車を推すカゼの意見を却下していくイノリ。

中々棒に使えそうな物が浮かばない5人。



「あっ!!あれは?よくお祝いの時にお酒の入った樽の蓋を、ハンマーみたいなので叩いて割る行事あるでしょ?小さい物でも5人みんなで叩けば割れるかもよ」


「いい案だと思うけど、うちにハンマーなんかないよ」


「この際、素手でよくね?」




イノリはそう言うと拳に息を吹きかけた。
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