祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「懐かしいね。そんな事もあったなぁ」

「………あの日から俺はキヨだけは信頼している」



カゼは都会の夜空を見上げた。



夜空を見上げていても、カゼの瞳に反射する光は街のネオンだけ。




「そうだ、あの時カゼの願いだけ聞かなかったね。カゼは何を願っていたの?」



キヨの言葉にカゼは無言のまま俯いた。


カゼが子ども心に願った願いは、口に出せるものではなかったのだ。




「………都会の星は叶えてくれそうにないから言わない。…今度地元に帰った時教えるよ」

「そっか、わかった」



キヨは問いただす事なく頷いた。



カゼはあの頃から残る自分の中の罪悪感を飲み込んだ。



2人はカラオケやマンガ喫茶に行き、他愛のない話をした後、家へと向かった。
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