祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

23・〜回想編・秋〜

山々が赤く染まり、葉が散る季節。


冬に向かいつつある秋は哀愁が漂い、少し寂しい気持ちにさせる。




四季の中で1番月が綺麗な夜に

5人はカゼの家の縁側でお月見をしていた。






〜回想編・秋〜







「まったりしますなぁ〜」

「ケン、オヤジくさいよ」



縁側に並んで座る5人。

彼らの上には、まんまるの月が輝いている。




「………月には団子だね」

「カゼは食べ過ぎよ。何でそんなに食べるのに太らないのよ」

「………なんでだろう」

「私なんか食べたら食べただけ太るわよ!?本当羨ましい」



カンナは黙々と月見団子を食べているカゼを見る。


山積みにされていた団子はもう僅かしか残っていない。




「………女の子は太ってた方が可愛い。触り心地が良さそう」

「なんでそこで私を見るかな!」



キヨはカゼを叩く。


キヨの隣では、イノリとケンが飾られているススキにじゃれて遊んでいた。




そんな5人の元に、楓の葉が風に乗って舞い落ちてきた。
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