祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「ケンは犬みてぇだな。キヨの後を尻尾振ってついてくから」

「何、妬いてんの?」

「バカ言うな!なんで俺が妬かなきゃならねぇんだよ!!」




イノリはカンナに怒鳴ると、面倒くさそうにリビングから出て行った。



2人になったリビングは、テレビの音だけが響く。





「カゼ、なんで子どものアニメなんか観てるのよ。しかも女の子向けの」

「………結構面白いから。カンナも観ればわかる」




女の子向けのアニメを凝視するカゼ。


アニメの主人公が変身する音楽が流れる。




「カゼは彼女作らないの?あんなにモテるのに」

「………いい。俺、女の子に興味ないし」

「キヨと私以外はって事?」

「………そうだね」




カゼはテレビを観ながら頷く。


カンナは深呼吸をして手を握り締めるとカゼの横に移動した。




「………カンナも観たくなった?」

「違う。あのね、カゼ――……」
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