祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
その頃、キヨは部屋でキャリーケースをタンスから引っ張り出し、持っていく服を選んでいた。




「キヨは本当に地元好きだね」

「だって綺麗だもん。田舎だけど」

「確かにね。都会は便利だし賑やかだけど、何かが足りないんだよな〜」



ケンは荷造りをするキヨを見つめながら呟いた。





「ケン、車借りるぞ」

「いいけど何で?」



キヨとケンがいる部屋にやってきたイノリに車のキィを渡すケン。





「煙草買いに行くんだよ。…おら、キヨ行くぞ」



イノリが顎でキヨを呼ぶと、キヨは嬉しそうにイノリの後をついていった。





「なんでいつもいつもイノリは俺からキヨを取るんだよ〜!バカ〜!!S男!!」



イノリ本人の前では言えない暴言を叫ぶケン。


ケンの叫びはキヨの部屋に虚しくこだましていた。




S気質のイノリには適わないM体質のケンであった。
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