祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「北山が何考えてるのかわからないけど、俺は潔く諦めるよ。だから…清田さんを宜しくな」
「言われなくてもわかってる」
鈴木はハサミを拾いポケットにしまうと、窓の外を眺めるイノリを見ながら教室から出て行った。
「イノリ♪遅いから迎えに来たよ」
キヨが教室にやって来ると、イノリは窓際の壁に寄りかかって眠っていた。
キヨはイノリの顔を覗くと、イノリの頬から血が出ている事に気がつく。
「…?なんで怪我してるの?かすり傷みたいだけど」
「………ッ…」
キヨがタオルでイノリの頬を拭うと、イノリは痛そうに顔をしかめる。
キヨはそんなイノリの頬をペロッと舐めた。
「…へへっ、吸血鬼になった気分」
「ん〜…。やめろ…」
くすぐったそうに体を捩るイノリの仕草が可愛くて、キヨはギュッとイノリを抱きしめた。
外から聞こえる生徒達の声。
虫の音。
2人はそんな音に包まれながら、抱きしめ合っていた。
鼓動が聞こえるだけで幸せだった。
お互いの存在が感じられればよかった。
それだけで生きていけると思った高校最後の文化祭の夜。
「言われなくてもわかってる」
鈴木はハサミを拾いポケットにしまうと、窓の外を眺めるイノリを見ながら教室から出て行った。
「イノリ♪遅いから迎えに来たよ」
キヨが教室にやって来ると、イノリは窓際の壁に寄りかかって眠っていた。
キヨはイノリの顔を覗くと、イノリの頬から血が出ている事に気がつく。
「…?なんで怪我してるの?かすり傷みたいだけど」
「………ッ…」
キヨがタオルでイノリの頬を拭うと、イノリは痛そうに顔をしかめる。
キヨはそんなイノリの頬をペロッと舐めた。
「…へへっ、吸血鬼になった気分」
「ん〜…。やめろ…」
くすぐったそうに体を捩るイノリの仕草が可愛くて、キヨはギュッとイノリを抱きしめた。
外から聞こえる生徒達の声。
虫の音。
2人はそんな音に包まれながら、抱きしめ合っていた。
鼓動が聞こえるだけで幸せだった。
お互いの存在が感じられればよかった。
それだけで生きていけると思った高校最後の文化祭の夜。