祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
家の中でそんな出来事が起こっている事を知る由もないキヨとイノリは、休日の街をドライブしていた。




「煙草買うだけじゃないの?」

「折角の休日なんだからどっか行ってもいいだろ」




運転をしながら面倒くさそうにCDを入れるイノリ。


セットされた曲が車内に流れ始めた。




「イノリって見かけによらずバラード系よく聴くよね」


「見かけによらずって何だよ!確かにバラード好きだな。だからケンの選曲はセンスを疑う。パンクなんてうるせぇだけだし」


「私もバラードの方が好きだな。心が洗われる気がするもの」




優しいラブソングが流れる中、特に話しをする事なくイノリは運転をし、キヨは窓の外を眺めていた。





「着いたぞ、降りろ」

「イノリ…何がしたいの」



2人が着いた場所はブランドショップ。

バイト生活の大学生である2人には場違いな店。





「こんな所来ても何も買えないよ」


「昨日バイト代が入ったんだよ。だから買ってやる。お前色気ねぇんだからブランドの1つや2つ持てばちょっとは変わるかもしんねぇよ」


「余計なお世話よ!…それに彼女でもないのに悪いし」


「じゃあ彼女になればいい」




予想外のイノリの言葉にキヨは目を見開いた。
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