祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「…え?イノリもなの?」
「…あぁ。だから言ったろ。男は女なら誰とでも出来るんだって」
イノリがそう言うと、キヨはイノリに参考書を投げた。
「痛っ!何すんだ…よ…」
イノリがキヨを見ると、キヨは今まで見た事ないような顔で涙を流しながらイノリを睨んでいた。
涙は次々零れ落ちていく。
「キヨ……」
イノリがキヨに触れようとするとキヨはイノリの手を叩き、イノリの部屋から出て行った。
キヨがいなくなった部屋でイノリは、机を思いっきり殴るとテキストを壁に投げた。
「…忘れなきゃ……忘れなきゃ。これから別々の道を歩いていくんだから…今の内にイノリを諦めなきゃ…。丁度いいきっかけが出来たじゃない」
自宅を通り過ぎ、田んぼ道を歩きながらキヨは自分に言い聞かせていた。
…狡い。
イノリに抱かれた子が憎い。
…………羨ましい。
イノリの体温を全身で感じて
あの声で囁かれ
あの腕に抱きしめられ
あの背中に腕を回し
あの匂いを嗅ぎ
あの唇でキスをされた子が羨ましい。
どんなに一緒にいたって
どんなにそばにいたって
どんなに触れたって
イノリは私を女として見ない。
だから抱こうとはしない。
私はイノリになら何をされても構わないのに…
「…諦められるチャンスが出来たのに…どうして泣いてるのよ美月…」
キヨはその場にしゃがみ込むと、顔を伏せ嗚咽し始めた。
誰か教えて…。
イノリは誰を見てるの?
誰なら抱くの?
誰なら心を開くの?
誰の為なら泣くの?
誰なら全てを見せるの?
私の事をどう思っているの?
いつも何を考えているの?
私の隣りにいる時、誰の事を想っているの?
……誰を、愛しているの?
「…あぁ。だから言ったろ。男は女なら誰とでも出来るんだって」
イノリがそう言うと、キヨはイノリに参考書を投げた。
「痛っ!何すんだ…よ…」
イノリがキヨを見ると、キヨは今まで見た事ないような顔で涙を流しながらイノリを睨んでいた。
涙は次々零れ落ちていく。
「キヨ……」
イノリがキヨに触れようとするとキヨはイノリの手を叩き、イノリの部屋から出て行った。
キヨがいなくなった部屋でイノリは、机を思いっきり殴るとテキストを壁に投げた。
「…忘れなきゃ……忘れなきゃ。これから別々の道を歩いていくんだから…今の内にイノリを諦めなきゃ…。丁度いいきっかけが出来たじゃない」
自宅を通り過ぎ、田んぼ道を歩きながらキヨは自分に言い聞かせていた。
…狡い。
イノリに抱かれた子が憎い。
…………羨ましい。
イノリの体温を全身で感じて
あの声で囁かれ
あの腕に抱きしめられ
あの背中に腕を回し
あの匂いを嗅ぎ
あの唇でキスをされた子が羨ましい。
どんなに一緒にいたって
どんなにそばにいたって
どんなに触れたって
イノリは私を女として見ない。
だから抱こうとはしない。
私はイノリになら何をされても構わないのに…
「…諦められるチャンスが出来たのに…どうして泣いてるのよ美月…」
キヨはその場にしゃがみ込むと、顔を伏せ嗚咽し始めた。
誰か教えて…。
イノリは誰を見てるの?
誰なら抱くの?
誰なら心を開くの?
誰の為なら泣くの?
誰なら全てを見せるの?
私の事をどう思っているの?
いつも何を考えているの?
私の隣りにいる時、誰の事を想っているの?
……誰を、愛しているの?